早春の庭に出て、その目立たない花が視野のどこかに入るたび、小さな宝石箱を隠し持っているような気分になった
─梨木香歩 「2 たおやかで、へこたれない」─
with words, as discourse
早春の庭に出て、その目立たない花が視野のどこかに入るたび、小さな宝石箱を隠し持っているような気分になった
─梨木香歩 「2 たおやかで、へこたれない」─
其処に在るてふ事の不思議さよ
実にひれ臥して祈らんか
されど彼は答へはすまじ
実に只描け
在るてふ事を解き得る迄
(1918, 関東大震災で焼失)
「違う文化を拒絶せず黙って受け入れた経験を、たくさん持てば持つほど、ひとの「寛容」はどんどん鍛え抜かれていき、そのことがきっと、私たちを「同んなじ家族」(趣味嗜好が違うおじいさん世代、孫世代が互いに干渉しない、でも互いの存在は認めている、という理想の──)にする、という観測は、あまりにもナイーヴな楽観主義でしょうか。」(p.76)
梨木香歩「11 あれから六万年続いたさすらいが終わり、そして新しい旅へ」