「私たちの大学の未来は、もし大学にまだチャンスが残されているのだとすれば、大学の根源的精神を再び蘇生させることにこそかかっているのであります。半世紀この方、こうした精神は、次第に衰退の一途をたどり、ついには最も深刻な崩壊を見るまでに至りました。(ナチ政権下の)十二年というものは、大学の道義的破壊を押し進めました。今こそ、教授陣も学生たちもこぞって自らの行為への熟慮を迫られる瞬間なのであります。すべてのものが揺らいでしまっているところでこそ、私たちがどこに立ち、また私たちが何を求めているのかを、私たちは、私たちの立場から知ろうと欲するのであります。」(p.3)
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「研究の意味と創造的な歩は、それが認識活動の全体において、その生き生きとした関係を養い育てる時にのみ維持され得る」(p.73)
「最高の訓練とは、完成した知識を習得することではなく、むしろ学問的な思考へと諸器官を発展させる[…]問うことの方法を練習しなければならないのであり、専門に応じて、どこかで、究極の根拠にまで達しなければならない」(p.74)
カール・ヤスパース(1999[1946])『大学の理念』(福井一光訳)理想社; cit. in 吉見俊哉(2020)『大学という理念絶望のその先へ』東京大学出版会、pp.232-233