ひとりの子と出会った
かれのこと、まわりのひとは
しょうがいじゃないか、って言ってた
その日もかれは体操の列からはなれて、
わたしはあとをついて、園庭の後ろを歩いてた
ふと、かれがうたっているのがきこえた
わたしのしらないことばで、
でもはずんでいるおとで
腕をあげて、足を踏みならす
たのしそう ダンス
となりにしゃがんでそれをみてた
草のところどころ生えた白っぽい園庭
そして突然下を指さして、
そしてそれから上を指した!
その時わたしは空を見て、
ああ! なんて!
空は広いんだ
目眩がするほどびっくりした
そしてそれから地面を見たら
ああ! なんて!
地面は丸いんだ!!!
空と地面と魚眼レンズのようにひとつにつながって
わたしたちふたり
まんまるい、おおきなまあるい水晶玉のなかにいるようにみえた
ことばってなに?
かれはしょうがいなんだろうか
こんなにみえなくなっていたことを教えているのに
ぜんぜん聴いていないのは、わたしたちのほうじゃないか
わたしたちはみんなことばに/を奪われているんじゃないのか
このこえをきこえるようにするにはどうしたらいいの?
ことばを取り戻すにはどうしたらいいの?
時間が必要だ時間が
注意深く世界に耳をすます時間が
そして
書くことのおそろしさを知ることが
わたしはもうかけない
それでも、かかなければならない
How you day?
ほんものをみて
ほんものはすくない
ほんものをみていて
ほんものはあるのよ
「かたち」とはちがうの
ただ「かたち」を借りて闘っているの
よくみていて
よくみていて
みみになって
うばわれているものを